トロピコまで/カマキリ
 
そろそろ悲しくなってきて
隣の世界へ行きたいのに小銭しか持っていなかった

ホームに張り巡らされた電飾からは
コンビニで手に入る情報しかなかったのだが
それだけでなんとなく満ち足りるような気がしていた

シュラフがバターのように溶けていく夢を見ている
体ごと塩のない海に落ちていくようだ
もがくほど気持ちよくて
目を閉じていると苦しかった

もっと悲しくなってきて
チケット屋さんからもらった飴を転がしてみる
見えそうになると辛いけれど
ここではみんな生きていた

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