詩なんてかきたくなかった/はるな
 
て好きな子に好きと言いたかった。詩なんて書きたくなかった。唇をいくつも噛みちぎった。
決まりごとのように時間を売り、その金で服を買い、靴を買い、お酒を買い、時間を買った。終りが来なかった。一日は終わらなかった。そして始まらなかった。時間を売り、またべつの時間を買った。

ある人は素敵だねと言うし、べつのある人は理解できないと言う。どちらもわたしには必要ない。なにも必要じゃない。ただ欲しかっただけだ。必要なものなんてなかった。手に入れて、無駄にしたかった。手に入れられたくて、そういう自分であるために、手に入れたかった。賞賛なんて必要じゃなかった。必要じゃないのに、欲しくてたまらなかった。

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