台風のこと/はるな
 
。起きていられなかったのだ。
誕生日会とか、お泊り会とか、夏休みに夜通しやっているテレビ番組を見るのとか、いちばん先に眠ってしまって、いちばん最後に起きた。物事はいつの間にか終わっていて、いつの間にかまたはじまっていて、いつも何もかも半分眠ったような気持ちのままずりおちながら過ごしていた。すべてのことがよくわからなくて、わかりたいのに、わからなかった。

それで、台風。
見はっていよう、と意気込んでみると、隣で夫がすうすうと寝ている。
台風見ないの、と聞くと、寝なさい、と言う。寝なさい、明日になれば元通りだから。と。そうして言われるがままに眠ってしまい、朝起きて、台風の過ぎ去った一日を、夫と同じところからはじめる。


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