台風のこと/はるな
 


それにしても、台風。なつかしいというのは、わたしにとってさみしいとか悲しいことともよく似ているのだけど、台風。
小学生のころ、帰りの会で「あしたはけいほうが出れば休校です」などと言われてわくわくして帰り、天気予報図で悪魔のような渦を確認して寝て起きれば、しかし、いつも台風は過ぎ去ったあとだった。あのきれいになった空。からりとして、こころがみょうに落ち着く気持がしたんだった。

なんでさみしかったんだろう、というのは、たぶん、寝ているあいだにことが終ってしまっていたからなんだろう。何か自分だけ取り残されたような気持にさせられる。
よく眠る子どもだったから、そんなことが幾度もあった。起
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