加害者と被害者/桐ヶ谷忍
者だろうか。
生まれた時から連綿と受け続けてきた被害のせいで病み、
病んだ身にとどめの一言を言われて死のうとした。
それは、加害なのだろうか。
確かに、加害なのだろう。
それは、ある意味報復なのだから。報復しようとして
死のうとしたわけではないが。
ただ、もう耐えられないと思ったのだ。
息をしている限り、私は過去の事をいつまでも
まるで甘い飴のように舐めしゃぶっている。
忘れようとしても忘れられない。
理解しようとしても理解したくない。
割り切ろうとしてもいつも過去の被害に端を発していると
自分の過ちを人のせいにする。
一歩も、動けない。
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