【 柘榴 】/泡沫恋歌
 
私に優しいあなたは 
私じゃなくても優しい
それが悔しくて 
唇を強く噛みしめる
ひとり占め出来ない男は 
心を蝕(むしばむ)む

胸が苦しいの 
肌が紅く染まっていく
女の身体の中で 
柘榴が紅く熟れる
あなたは好きな男から 
奪いたい男にかわる

醜い心の私に 
眼を覆いたくなる
紅い柘榴の実は 
女の子宮に似ている
口の中で噛めば 
なぜか血の味がする


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