安全圏の神々/无
腐臭が届かぬ場所にいれば
それは美しい光景かも知れない
死も崩壊も距離によって美となる
心を持たなければさらに美しい
わずかな罪悪感を
わずかな金に置き換えて
他人事の神々たちが
安全圏で見物している
本当に安全なのかは
誰にもわからないのだが
あなたの祈りに意味がないように
彼らの気まぐれな言葉にも価値はない
キーボードに触れる彼らの指先が
あなたの心に届くこともない
悲しみに共鳴したという幻想だけが
あなたの孤独を弄んでいる
すべてのオモチャを失って
不満顔の子どもによって
虚空に放り投げられた
野良犬の眼球が
そのまま落下することなく
寂しい二つ星になる頃
世界は今日も輝きはじめる
教訓として活かされることもなく
踏みにじられた命たちを眺める
安全圏の神々のために
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