約束 /服部 剛
嫁さんと周に駅まで送ってもらい
仙台行きの新幹線に乗る前
待合室で一人になって、はじめて
(今日で周は一歳か)という
思いがじわり・・・と胸に広がった
毎日嫁さんのやりくりで
安月給の日々を繋いでいるが
チャイルドシートに座って、にこりと
見送ってくれた周に
(パパ、がんばるね)と約束した
出発の場面を思い出しつつ
列車は闇夜を加速して、仙台へと走る
今頃夢の寝顔をしているであろう
周よ、パパはね
明日仮設住宅の集会所で
震災を越えて日々を生きる皆様に会い
詩を読んでくるんだ
その場に集う皆で
瞳を閉じて、手をつなぎ
輪になった中心に
目には見えない種を植えよう
いつの日か必ず
日和山から見渡す石巻の大地に
ひとり・・・ふたり・・・と
花が咲いてゆく日を
夢見る為に
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