渋谷の2Fで/番田
誌の上を過ぎていくだけの日々。頭をよぎるのは、テレビゲームのことだとか、本や小説の話しのことなどだった。意思もないのに恋人ができるようなはずもなかった。だけど、そういったことも最近は、友達との共通項としては役に立たなくなっていた。映画も歌謡曲も、話しをするにはすでにつまらなすぎた。そうではないものとはなんだろう。不安が、頭の中を横切った。自分は会社の中で勝ち抜いていけるのだろうかと。ひしめいた人間社会の中では予定通りに事が進むことはあまりに少なかった。もう何度頭を下げてきたのかわからない。多くは頭を下げることだけが防御手段となるようだったが、失敗を想定しておくことだけが、それをうまく取り繕える手だ
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