『Pamela, or Virtue Reward』/森永裕爾
 
、家族―父―社会という地動説に依拠する社会体制にマッチングしたものであったのである。
 18世紀イギリス社会では、男性にとって、女性とは白い悪魔という固定的観念があり、女性は管理しなければならないものとして考えられた歴史的事実があった。そこには、女性は一生貞淑であり、純潔な存在であって欲しいという男性の願いも込められていたのではなかろうか。
Pamelaのリンカンシャでの生活は、上述したイギリス社会の縮図といえるものではないか。自らのvirtueを守りながら主人から逃れようとするPamelaは、自由を求め社会の束縛から開放されようとした当時の女性そのものであり、幸福の最終地点であるとされたP
[次のページ]
戻る   Point(1)