『Pamela, or Virtue Reward』/森永裕爾
理が投入され、市場が形成されるという、それまでに例を見ない社会の変動が生じた。その渦中に置かれた市民の意識の変化や不安、動揺から社会秩序の混迷を招かぬための仕掛けが必要となった。そこで神=父とする法を根拠に、国王を父とし国民をその臣民とする、ジェームズ1世を代表とする絶対王政と父権制とを社会原理にして、その中へ市民たちを組み込んでいったのである。
それは、経済活動の活性化が、人々を地方から都会へという空間的移動をさせ都会文化に触れさせる。そのことが、市民、わけても女性の自我の目覚めにつながることを規制する手段にもなったのである。すなわち、女性の行動を制限し、家族という単位に収めておくことが、家
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