山門 /
服部 剛
木々の葉が周囲に
ざわざわ鳴っている
藁葺(わらぶ)き屋根の山門が
中天の日に照らされている
あの門を潜(くぐ)った向こうの
石段を上ってゆけば
一体何処へ導かれるだろう?
この長い旅路に何度か訪れる
山門を潜る時
背後から風の声が囁いた
(君よ、信じる道を往け――)
天と地の淡いに
これから織り成されてゆく
物語の日々へ
風が山門を、吹き抜ける
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