硝子を飲んで透明になる/佐伯黒子
 
愛情に子供ができてころした日「時間があれば時間があれば」



素通りした国道沿いのその町に君は住んでた知らないひとと



演技した断片ばかりの鉄塊にアウトサイダーアウトサイダー



強風に煽られている人間を窓の中から見て育った子



のびしろを結んで遊んだ人生を鋏でそっと切り取られた朝



いくつもの金属管をすり抜けて消えてなくなる霧になりたい



天神の街行く人のつまさきを追いかけている腑抜の眼鏡



神様を殺してしまった。(思春期に代わりを立てて遊んだこども)



神様を殺してしまった。(必要なものではなかったはずなのに孤独)



手で青ぎ産まれる君の焦を嗅ぐこころに無いこと言わないで死ぬぞ



拒否をしたむかしのひとの愛憎にまざった声と消費する体



依存したホイップクリーム 喉の奥 融解したらどちらの罪か



ことばなんて使えっこないと知った日に硝子を飲んで透明になる
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