無題/渡辺亘
 
ポケットにはひとかけらのパンと
一冊の詩集があればいい
ひとつの主題を
私は何度でもうたう
それは青春ということ
誰にもたれかかるのでもなく
自立した心でうたう
青春の尊さを
光を陰を
恋を愛を探求心を
太陽を月を星々を
青空を雲を風をあこがれを
私はうたう
この五体に感じるなにものかを
私はうたう
海を山を大空を
私はうたう
もう何もいらない
ポケットにはひとかけらのパンと
一冊の詩集があればいい
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