口を噤んでいたユリの
吐息はひとつ
羽衣をひろげるように
つぼみを といた
消え去らぬ
心の蒼いしおりを 想いださせる
白い芳香
純心を乱す 花のかたらい
劫という時のながさの 昔
私が、生まれた
私は、天とひとつの存在でした
人待ち顔の花の身は、いつわりの
うつせみ
わけなど ありあまるほどに
さけぶがため
もとめる ため
なのに
にく欲など煩わしいと うそぶく
ならば
わたしは、六本の男根をことごとく
去勢してしまう
純真の白い肌に、無垢の色をかさね
おまえは、
男を知らずにすむ
永劫の少女の時が、はじまる
花は、ただ濡れ」
一滴
なみだ色の
甘い蜜を おとしてみせた