真夏の雪、地蔵骨峠の夢/はるな
 
、ガードレールに引っ掛けておいた。よっぽどそれは、わたしの足より似合いの光景だろう。
そして、地蔵骨の入り口へきてふりかえってみれば、遠く遠くのふもとのほうに、逢瀬の相手を見つけるのだった。
「そっちだったの・・」
がっくり肩を落としていると、背後から下足番がやってきて
「あんまり落込みすぎると帰れなくなるよ。」
と腰をさすってくれる。
「足湯入っていきなさいよ。」
言われるがまま感覚のなくなった足を湯に入れれば薄皮が剥けるように皮膚がはがれてゆく。
「剥がれてしまうんですが。」不安になり尋ねると
「剥がれてゆくのはいらないものだけだよ。」と動じない様子。
それでもやはり恐ろし
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