ぼくたちはきっとうそつきなカナリア/中山 マキ
青白い空に浮かぶ月は
境界線を見つけられないまま佇んで
何処ともなく
向き合わずに消えて行く
酷くひっそりと
動き始めた世田谷
バナルじゃないと
長く暮らせない
吸い慣れた煙草
マルボロメンソールが
身体の奥へと
染みて行くように
愛し合い続ける裏にある
確かな矛盾に負けそうになる
三宿の交差点に佇む
数億円のマンションから
うそつきなカナリアが羽ばたいて
太陽に焼かれて落ちていく
ぼくたちはそんな現実さえ
悲しいとも思わなくなって
図らずも存分な
うそつきになっていた
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