水中の血液/usoni
 
世界がクリオネのようで透明、
からだは氷のままずっと目覚めない
パプリカの色をした肌に魅了され、気づけば機械になっていた

(くすくす)
わたしを笑う声


トマトをつぶす音のように
ちゃぷ、ちゃぷ
指先は冷たい 同時にとても赤くて
静かな街のなかで友人を葬ることに嘔吐、視力のないその目で
いちばん近い惑星をみつけた

プールには爪あと
乾きはじめた化粧水、そう、花火のかおり
クリアブルーとベビーピンクの色をした髪に魅了され、気づけば機械になっていた

(くすくす)
(クズ)
わたしを笑う声


手首が桜の枝のように伸びたとき、
めまいで眠りにおちた
ひとりきりの盲目、カエルの内臓、腐ったレモンティー

廊下には飲み残されたコーラが染み込んで
はだしで歩くと懐かしい音がした
夏のすべてを呑みこんだあの子の唇に魅了され、 できれば、 機械にはなりたくなかった



くすくす




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