或る愛の話/済谷川蛍
女の可愛さが余計にイライラさせた。チャットを進行させながら姓名判断のサイトを開き、彼女の本名を入力して出た結果に思わず噴き出した。
孤立 自滅 不遇 不如 トラブル 虚無 虚偽 心弱
俺は彼女のことを救いたくて必死だった。
俺が出来るアドバイスはとにかく彼氏から直接別れの言葉を聞いて号泣しろということだった。しかし彼女は学校が遠いからとか携帯の番号を消したからとか言って逃げる。マジで愛憎半ばして血圧が上がった。
そしてついに告白した。
「君のことを救いたいと思ってるんだけど」
「そうですか」
「言葉だけじゃ限界がある」
「そうですね」
「俺が会いたいと言ったら会える?」
「無理です」
「だね」
「はい」
「君もきちんとフラれたほうがいい。本当に欲しいものが手に入らなくても生きていけるとわかるから。これが俺から君への最後の言葉です。」
俺が彼女からの返事をブロックする前に、彼女のほうが先に俺をブロックしていた。
以上だ。
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