8号館 〜遠ざかれない日々によせて〜/Rin.
 
かの海をかためて壊すためにある製氷機にはレモンの輪切り


飾るほどでもないけれど捨てられぬペリエの瓶にやどる初夏


きみがノートに羅列している心理学用語のような雨のきらきら


座席には等間隔の隙間 みな 夏を 拒んで いる の で しょう  か


戦争のことを習った日をおもい影おくりする低い屋上


あじさいに触れながら行く待ち合わせなき図書館へ芝生ぬれいる


降りてきたことばたちだけくちずさむ夕焼けを吸うらせん階段で


生野菜 消費期限 とgoogleに打てはあしたは台風らしい


風ほそくあつめて鋭くあれ メロンソーダ
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