うたをわすれたカラス/梅昆布茶
もしれないが
わからなくなってしまったんだ
ちょっと考え事をしていたらうたをわすれちまった
あたりまえだと思っていた
いつもの冴えないでも俺たちだけのうたをね
人間が自然的態度とか呼んでいるらしいあたりまえな
自明なことができないみたいなんだ
疑わないことで俺たちは自由に空を飛び恋を追って
そして暖かい巣や仲間やめんどうな子育てさえも
うまくこなしてきたんだ
しまいには空の道や風向きやすてきな匂いまでわすれそうだ
やがて飛ぶことさえもうしなって
まさに路頭に迷うのかもしれないな
あのうたは俺たちの社会のうたなのか
それともおれの勝手なおもいこみだったのか
おれたちは君らのように石ころを交換はしないが
なにかを信じているらしい
それを忘れたときには
きっとまっさかさまに墜落するのかもしれないな
あの太陽に近づきすぎたきみたちの仲間の
イカルスとかいうやつのように
だから思い出さなきゃいけないんだ
いつものうたを
いつものようにね
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