柔らかく乾いた苔のジュータン/ぎへいじ
 
ここには
小さな岩の塊と 冷たい流れがある

登って岩の頭に立つ
柔らかく乾いた苔のジュータン

その邪魔な苔を無残に剥ぎ取り川に捨てた

何千年もの間 誰にも触れられた事のない世界としても僕には どうでもいい話しで
面白半分に流されていく孤高の苔を見つめる

視界から消えたそのときに気がついた

僕らはそういう出会いを繰り返して
入り込めるはずもない人の心に ふみこんで
そして 待つ
視界から消えるまで 
失った良心に気がつかないまま

取り戻せない
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