8/14/はるな
く凝った洋服を着させられている子どもも、よだれが乾いてかさかさになったスタイをしたままの子どもも、泣いている子どもも、笑っている子どもも、ぼうっとして眠りにはいる寸前の子どもも、みんな、信じられないくらい、白目がきいんと白いのだ。
転んだ子どもを抱き上げる母親の腕を、汗を拭いとる母親の手もとを見るたび、たぶん、憎しみにちかいような感情が湧いてきて立ちすくんでしまう。すこし前までは、それが憎しみだとはわからなかった。こわいんだと思っていた。
母親が憎いのではなくて、見知らぬ子どもが恨めしいのではなくて、たぶん、思い出せない自分自身が憎いんだろうと思う。愛されていないと思っていた時期もあったし
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