ドラディヤの錬銀術師/高原漣
 
白昼の路地裏で不可視の怪物に頭から貪り食われたとも言われているが、今となっては知る由もない。

人生の先導者を喪ったエスメラルダは、これ以降かけ出しの錬銀術師として生計を立てていくことになる。

薬草の採取・転売で元手を稼いだ少女は、南方大陸に棲む空人魚の航空艦艇に使用される軽金属を精錬する過程で廃棄される、純度の低い金属片や搾りかすである岩滓(ほとんど泥のようなものだ)を入手し

これを見よう見まねで身につけた錬銀術で純度99.99%クラスの純銀に変成させ、まさに字のごとく路銀を稼いだ。

よく名の知られる歴史書に最初にエスメラルダの名前が登場する(ごく小さい記述にとどまるが)の
[次のページ]
戻る   Point(2)