ドラディヤの錬銀術師/高原漣
 
錬銀術式を描式するため

アエルダートの隣町(隣町とは言うが、7リーグは離れており、互いの交流はあまりない)であるミクマグスに逗留していたダァト師のもとに、幼子が連れてこられた。

未払い分の賃金に充当するためとも(錬銀術には幼児の生肝が必要という風説が当時しきりに流布されていた)言われているが、詳細は不明

「5歳くらいの肌の浅黒い娘で、瞳の色が深い翠色だった」とは、ダァト師の後日述懐するところである。

さてこの奇縁はここに始まる。老錬銀術師がみなしごを憐れに思ったかはわからないが、ダァト師は彼女の身元を保証するとともに、名無しだった娘に『エスメラルダ』の名を与えた。


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