米と三角/はるな
売やってけるんだと思いますよ」とも言っていたし、それも先のアドバイスの言葉とだいたい同じ意味なんじゃないかと思う。
(思い入れが強すぎるのよ)
すこし時間が経ったいま、あれはしばしばわたしの頭のなかに響いている。
(第三の目でもあればいいんでしょうか)
*
部屋がかわると見えるものもずい分ちがってくるのかなと思ったけれどそんなことはなかった。窓のむこうには空とコンクリートでできた色色のものが見える。そして時おり子どもの声がして、夕暮れはちゃんと赤いし朝の光は青い。窓のこちら側には膝を立てているわたしがいる。それが良いことなのか悪いことなのかがわからないのだ。
場所がかわった、顔がかわった、姓がかわった、数がかわった、そうすると見えるものもずい分ちがってくるのかなと思っていた。
日差しがだくだくとそこいらじゅうに溢れちらばっていよいよ身のおきどころがなくなってしまう。
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