米と三角/はるな
れはずっと上手にできなかったことのひとつだけど、あるときに気づいたのは、わたしの体から離れたものへならそれなり上手にりぼんに結べる。というのは、いぜん、働いていたコスプレバーで、女の子たちの制服の後ろを結んであげているとき。ふっくらしたりぼんを、背中につくり、でも、当の本人は見ない場所。わたしは、自分のだけはうまく結べないから、どうかするたびに男のひとたちが、あれあれまあそんな結びかたをして、と、結いなおしてくれた。ありがとうと言ってりぼんのように笑みを結ぶ。
結ぶっていうのは、なんて尊い言葉なんだろう。指さきの、繊細さを思い浮かべられるし。やわらかくてしなやかで、それでいて断固とした響き。
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