川は蛇行して背を伝う/手乗川文鳥
まりまりと育った
踏みつぶされて死んだ
夕方の河原で妹たちが裏白い顔で揺れている
剥がれない瘡蓋
喉元を細い波線が貫いて
噴き返る血流と漏れ出す呼気の
擦れ合う音
こんにちは、会釈をして
もう二度と会わない人と
記憶の中で刺し違えている、何度も
全身を充血させて
もう二度と会わない人を
本当に会わないようにする
もう二度と会わない人は
不思議と私と似た表情を作る
真似するなよ
胸元を最後に突く
深夜に
家の裏の暗渠に立っている
かつての川岸はそのまま生け垣になっている
苔むした石を積み上げては
浮かばれない子たちが
暗い眼で夜
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