テニアンの少年/月乃助
 
気温 29℃
風速 3.1m
湿度 78%





鋼鉄の肌に汗がつたう
夜空をきりとった 明かり窓」からの月光
ウラン235の心臓の鼓動


「「 父さん、ここはひどく蒸し暑い  



僕は、この島生まれだけれど
僕のパ‐ツは、海のむこうから送られてきた
刻まれたインディアナポリスの波の 想い出



明かりの消えない部屋
父さんたちは、明日の天気のことに夢中になっている
快晴の空
それを待っている



僕は明日旅立つ
北の島の小さな港町を
死骸の町に変えるため
殺戮兵器
歴史に僕の名前がきざまれる



有史以来
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