配備中の安全性/あおば
 
              120808


どこまでも美しい空に
白い雲が流れてゆくよ
もうすぐ秋だよ
もうすぐ破綻だよと
オリンピックも
盛夏も楽しめないよと
初老のど根性が
上目遣いにゼブラゾーンを彷徨いている
あぶないあぶない信号がもう変わるよと
大声で注意しようとした途端
安全性は保証されているとテレビが叫ぶ
先を越されたと声が詰まったまま見守ると
なんとか向こう側の歩道に辿り着いたようで
イライラした車の列がその身体を隠す
頭だけ雑踏の中を右方向にゆっくりと進み
いつ整備されたのかわからないアーケードの方に消えていった
これはいつもの景色かも知れな
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