世界へ/nick
あたたかい場所で生まれた君
里から街へ手帳を埋めて
愛に潜り込んで鍵を渡して
拾ったものは忘れてしまう
ためらいの扉
完全をめざす計画と
雲ひとつない青空の頂点
硬直した博士の指
そういったものは全部
君をばらばらにさらってゆく
この部屋にだけは来ないで、
夜と昼がまざった部屋に
祝福の音を重ね
星に照らされ眠る日々は
壁の染みを少しずつ
濃くしていき、喉がいたい
ただ静かな砂の上に
集めたものを並べてみる
きれいな声で君を呼んでいる
そして時間をかけず沈んでいく
周りを見てはいけない
引き寄せてしまう
影と影と影と影
君のかたちをしているの
返せ
涼しくって重い風にオレンジ色ひとひら
君だけの大地に雫が染み込んだ
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