夏/
シホ.N
この雨がやむと
そこには夏が立っていて
そのときぼくらは
ぎらぎらした太陽のもと
手をかざして目を細める
見えない大きな力に覆いつくされそうな
恐怖と快感のようなものを
感じながらぼくらは
血と肉をさらけだす
あらゆる水分は
蒸気となってたちのぼり
そうしてぼくらは
からからと笑えるときまで
いつも肉体を開きつづけるのだ
正午の道ばたには人影もなく
ゆらゆらとかげろうだけが立つ
ぼくは汗をしたたらせ
さまよい歩きながら
何かと何かの乖離を体験する
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