涙はイルカになる/マーブル
星雨で髪を洗おう
それが終わらないように
わたしはいつも旗を振って敬礼をしているはずさ
また静かなうたた寝に
身を委ねるとき
わたしはちいさな寝息ひとつひとつに花咲かせよう
散らばる花吹雪の出来上がりさ
突然風が薫って
わたしの背中をそっと押してくれるように
そしてキーンと冷えた
木洩れ日をクロスして
忘れ去られた教会の
ステンドグラスの影の
なかにわたしは佇んでいる
あの森を抜けたところだよ
夕暮れ時の教会
真夜中に飛んでいる
飛行機の音を聞きながら
ふと思ったこと
わたしのいない世界って
どんな世界かってこと
それはたぶん
落花した薄紅のロード
ひとひらひらひらり
涙は跳ねてイルカになる
そして旅に出るんだって
浴槽のなかで
そう願ったこと
未だ信じている
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