続・田村隆一詩集 現代詩文庫を読む/葉leaf
の夢にあらわれるのは
一本の栗の木
十月の栗の実 あの
六月の栗の花の匂いだ
この詩「栗の木」が収められている『緑の思想』という詩集は、1967年、田村が44歳のときに出版されています。『田村隆一詩集』で取り上げた「四千の日と夜」が収められている『四千の日と夜』という処女詩集は、1956年、田村が33歳のときに出版されています。その間、1962年、39歳のとき、翌年高村光太郎賞を受賞することとなる『言葉のない世界』という詩集を出しています。『言葉のない世界』は『田村隆一詩集』に所収されているのですが、重要なので、ここで同詩集のタイトルともなった「言葉のない世界」の部分を引用します。
[次のページ]
戻る 編 削 Point(5)