バス、バス停、水の中/はるな
 
を剥くように、剥くように、午前の四時まで過した。

あるいは彼も、そんな時間までは待っていなかったかもしれない。
さっさと家へ帰ってシャワーをあびて、用意されたシーツのうえで眠ってしまったかもしれない。どこにあるかもしらない彼の家。彼の生活が用意された家。
でもそれはまたべつの話だ。

それから、また、いろいろなものがばらばらになってしまい、なにもかも水の中にいるようにぼんやり遠く、こんな夜をみている。
わたしにとっての待つということと、彼にとっての待つということと、それはまったく違う意味だろう。それでも、早く来て、と、言った。夜で、すこしすずしかった。二人とも酔っぱらっていて、携帯電話の液晶は脂で汚れた。あちらがわとこちらがわで、早く来て、と、彼は言った。行きたかった。

バスが、行きたいのに行かれない、なんてこと、あるわけがないと思っていた。


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