大切な人をなくしたあともつよくいきたひとの作品 茨木のり子とテッド・ヒューズから/イダヅカマコト
 
『わたしが一番きれいだったとき』などで知られた詩人、茨木のり子さんは2006年に亡くなった後に40編の作品をのこしました。この遺稿をまとめた『歳月』は彼女が夫の三浦安信さんへのきもちをつづった詩集。75年に三浦さんが亡くなった後に書かれたこれらの作品は、生前一度も発表されませんでした。
獣めく夜もあった
にんげんもまた獣なのねと
しみじみわかる夜もあった
(『獣めく』より)

というからだの感覚がひそやかによみがえる作品や「真実を見きわめるのに/二十五年という歳月は短かったでしょうか」と呼びかける詩集のタイトルにもなった作品『歳月』のさびしさを脱ぎ去ったような文体は愛しさではなく
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