詩人/……とある蛙
 
黄昏時の青空に 
遠く聞こえる 唸り声

暮れゆく山の稜線に
赤く響く 叫び声

黒く染めゆく山肌の
静かに震える 樹々の声

天空高く呼びかける
言葉の辛さ 曖昧さ

生きる気持ちも曖昧で
応答のない 叫び声

悲しみの
濡れた瞳に映る像

他人に分からぬ曖昧さ
自分も分からぬ曖昧さ

さほど応えぬ
淋しさ 辛さ

夜の帳のその奥に
何かが潜むと信じる期待

昨日の暮れと同じよう
今日もこのまま暮れて行く

何も語らず暮れて行く


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