紫陽花のうた/そらの珊瑚
 
さみだれている庭
ひと雨ごとに、育つ緑がここにある
雨の匂いと土の香り

湿気は、ほんのささいなセンチメントも
美しくふくらませる
庭を見渡せる屋根付きテラスで
濃く煎れた紅茶を飲んでいた

そしていつの間にか
うたたねをしていたらしい

   ◇

私の白いエプロンの裾を引くものがある
なに?
見るとそこには、羊がいた

も こ も こ の ひ つ じ

掌の乗りそうなミニチュアの羊の群れに 
取り囲まれていた
みんな私の顔をじいっとみつめている

あ な が あ き そ う

白い毛糸玉みたいなその一匹を
私はひざの上に乗せる
「メ
[次のページ]
戻る   Point(12)