家路/伊月りさ
帰宅の
駅のざわめきに
隠されて降りつづける
夕立
だれも見つけることができない(のは
だれもが濡れて
まばゆい、構内の
あしもとから順に深海になって
快速電車が文字の編み目を埋めていく
あ の 双眸や
し で すくいとれる
人 の 股の間まで
そこから何も生まれないようにと
指先すら
静かに滴って点字ブロックの間を埋め
盲いた人を惑わす
代わりに
膝のわるい人を安全に導くことができます
そう、駅員が裏返って話した
だから、ここで切り出そうと思いました。
わたしは雨になりたい。ずっと黙っていたけれど、それはずっと黙っていた方がより雨だと思
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