つづきのない山女(やまめ)の話/月乃助
「「 牛丼の並、コールスロー付で・・・
「「 はい、A定 一つはいります
時はしらずに 十四年をかさね
昔とすこしも変わらぬ オレンジの看板
丸いスツールにすわり
空色の袋におさまった ひまわりの鉢植えをカウンターにおく
小さな花は、場違いなそこで すこしそわそわ
落ち着きがない
ここは、今も花の飾りがない 男たちの店らしい
この花は、今夜
眠ることのできない 重く沈んだ少女のもとへ行く
私は、この黄色の花に頼んだ
ほんのすこしでも 少女が笑顔をみせてくれることを願って
少女のそばに いてくれるように、
/狼になりたい/できるなら
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