6/16/はるな
るのだということを知りました。
そのときどの男のこともかんがえていませんでした。過去のことも、未来のことも考えていませんでした。わたしはそのとき、わたし自身のことだけを考えていたようにおもいます。雨でした。雨が降っていて、いま考えればそれはわたしに良い影響を与えました。晴れ渡っていたら、自分が、どれだけ恐ろしい気持ちになったことだろうとおもいます。雨でした。しのつくような、しかしだんだんと強くなっていくような雨でした。
この生活が象徴にまみれている、と思いはじめてからは、オブラートで隔てられているような感覚がいっそう強まり、時間の感覚も難しくなって、笑ったり業務をこなすことにはたいして支障
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