呼吸 (泡の下から舐める夢と/c
息がとまった
(正確には息ができない状況で
吐いては泡となる気だるい吐息が
きらきらと夕日につつかれているのをみつめていた)
夏の夕方が水槽の底へ沈んでいくのを
わたしはぼうっと眺めながら
時々冷たい午後のアスファルトを
全身をつかって丁寧に撫でるという行為を
ただひたすらにくりかえす
呼吸をするのを忘れていた
ここは水槽に沈んだ都市でしたので
呼吸の仕方はずいぶんむかしに忘れてしまった
(そのことを今思いだした)
わたしの尾びれをどこに忘れてきてしまった?
+
いくつかの夢をみたあとに
ここへ戻っておいで
と、あなたが言っていたのはかろうじて覚えていた
大
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)