忘れたいのに思い出せない/フミタケ
泡立つ泡を白々と太陽が照らす
疑いはじめがさらす願いの半端
胸にくすぶりつづける感情に
振り上げる拳もなく
張り上げる声もなく
ただひたすら穴をあけつづけて抜け殻になったぬいぐるみが
1年に3万回降りそそぐ間抜けな荒野を歩く
近くで笑うきみは蜃気楼
足下のサソリに気をつけろ
「そこへ行けば何かがある」って
「こうしていればいつかはきっと」って
忘れたいのにおもいだせない
死んでしまった人間のことを
未練がましい女たちが
自分の心だけに留めておけず
きみをないがしろにして
都合よく語るのを聴くために
僕はそこへ行くわけじゃない
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