一夜/シホ.N
 

ある日ある言葉が
後光を背負ってやってきて
僕をいたく感動させる

僕は世紀の発見を
この言葉においてなしとげる
この言葉をペン先にとらえた瞬間
僕は感嘆の声をあげる

われは言霊の使者
かくて光と闇は混淆す
偉大なる宇宙よ無よ
矮小なる言語の片々
それゆえすべてはここに
これにあり
またこれになし

やがて一夜が明け
僕は目覚めたのち
とらえたはずのあの輝きの
失踪を知る
昇る太陽の明るさのもとに空虚

ああ
あの少年の日の冒険の
翌朝見つけた
虫かごの中の蝶々の死がい

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