最終考察あさき 前夜祭 -幸せを謳う詩-/只野亜峰
 
を子供に語るときに「母さん(父さん)は死んだんだよ」なんて言い聞かせる場面が我々の生きる世知辛い現実世界でもままありますが、これと同じ原理が働いたのではないかと予想されるのです。つまり"違って"しまった彼女が心の平穏を得るために用いた手段は、自らの記憶の塗り替えであったのではないかと推察されるのです。なんらかの理由で夫(或いは恋仲)という伴侶を失ってしまった彼女は、あまつでさえ宿された命をこれから一人で背負っていかなければならないという二重苦の甚大なストレスに脅かされます。そこで彼女が行ったストレス軽減策こそが記憶の塗り替えであったわけです。モチベーションというものは人間が生き
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