最終考察あさき 前夜祭 -幸せを謳う詩-/只野亜峰
きで、ほぼ一貫して主人公である母の視点で描かれたこの作品に三人称である「彼女」が出現したというのはつまり、「彼女」というのは主人公では無い異なる誰かという事になります。考えてみれば「緋色の糸」というフレーズからして、ショートver.で謳われた「途切れた色」との対比になると考えるのが妥当ですから、この男女の姿というのはつまり夫の裏切りそのものであったと考えるのが妥当であるわけです。そして、幸せな男女の姿を描いた後に描かれる「静かに」、この考察の冒頭で紹介した「折り鶴は木の葉〜」のフレーズへと差し掛かります。「静かに」で区切られたフレーズの後に「途切れた色」を対比として当てはめると、裏切りの果てに燃え
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