宇宙の塵/……とある蛙
 
宇宙に拡散された水滴の表面張力に支持された塵芥
大きなものは大陸その千切れた微小な島嶼程もあり
十分に人類の生存するスペースたりうるが
ごく僅かな身震いに過剰に反応する塵芥達

化学反応を起こそうにも液体の球面に引っ張られて
何時までも宇宙に向かって口を開けている塵芥達

漆黒の無限空間は星達の瞬きはなく
一定量の光子の波が微量降り注ぐ
死の空間でロマンチックな妄想と
絶望的な現実との狭間でひ弱な人工物が行き交う
それを千切れた微少な脂分の上で見上げ口を開ける塵芥達

宇宙との交信は隣人との交際よりよほど容易に思え
太陽が陰ると言っては大騒ぎし
天体ショーなどとアイ
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