まつり/森未
どこまでも続く屋台の間にたちこめる
お祭りのにおい
お囃子の音は少し遠くに聞こえてる
すれ違う人は
恥ずかしそうに手をつなぐ二人だったり
肩車をした親子だったり
浴衣姿の少女は
金魚すくいの水槽でにらめっこ
お面かぶれば
彼らはみんなヒーローで
おもちゃのアクセサリーだって
きらきら光る宝石になる
充満する空気に
みんながみんな酔ってしまう
その夜はたいへん
はなやかで
やすっぽくて
じっとりしている
わたしはそのお祭りの真ん中で
小さな子どもたちの高い笑い声や
駄々をこねる声を聞くのが好きだ
少し距離をとって歩く
二人の姿を見つけるのが好きだ
お祭りの日はただわけもなく
特別な日だから好きだ
そうして
祭りのあと
ゆるやかに
冷えていく
空気
いつもの夜に
目が覚めれば
もう、いつもの
朝
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