星を眺めること/ブルース瀬戸内
ろうと
申し訳なく思うものの何もできずに
涙を落とさないように星を見ました。
別れた話を耳にしたおばあちゃんは
複雑な表情を浮かべて星を見ました。
二人とも同じ星空を眺めていますが
二人ともそのことに気がつきません。
二人とも同じ流れ星に願いを託して
二人とも同じ星の瞬きに心震えても
二人ともそのことを知らないのです。
二人のもやもやがどんどん増幅して
大きな星雲ができそうなほどでした。
それでも流れ星が願いを叶えたのか
二人は引き合わされるように再会し
ほどなくして結婚して僕の父を育て
その父はおじいちゃん達の出会いを
僕に何度も聞かせてくれたのでした。
僕はこれから、そのおじいちゃんと
彼が愛しているおばあちゃんを連れ
星が見える望遠鏡を買いに行きます。
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