紫陽花のころ/草野大悟
 
紫陽花は泣くのだよ
七色にかわってゆく自分を
雨の中でしか輝けない自分を
泣くのだよ

ももいろに咲くひは
あれど
うすむらさきの想いで
ばかりは
せんなくて
なんだよ
心をば
なんにたとえん
なんだ

だから
紫陽花は雨の中で
太陽のように輝きながら
泣くんだ
ただ
雨のように泣くんだ




※2連 萩原朔太郎「こころ」による
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